EN | JP

フェイスシールドを無償提供する前に

issued: 2020 / 04 / 24

INFORMATION

自身も作業療法士として日々訪問看護に携わっているファブラボ品川 ディレクター 林からみなさまへのメッセージです.

医療・介護の現場は今、大変です。
発熱や倦怠感、咳など、COVID-19 感染者かもしれない症状のある患者さん、そのご家族などと接する機会が日々増え、現場は緊張と不安で一杯です。急性期病院は、多忙を極めているでしょう。

一方で、病院の他科外来や通所介護施設などはどうでしょうか?

感染を恐れ、今、高齢者は通院や施設に通うことを控える動きが強まっています。
例えば、毎週リハビリ通院していた患者さんが、月1回に調整したり、
1日25人満員定員で運営してきたデイサービスセンターが、自主的に10人まで定員を一旦減らして、屋内のスペースを広くとって運営したり。
そんな医療介護施設で働く職員は、少しずつ仕事がなくなり、不安で一杯の毎日です。

私は、医療介護施設で3Dプリンタの活用が広まると、きっとすごく良いことが起こるだろうと、ここ1-2年、導入支援を一生懸命させていただいている、「ファブラボ 品川」のディレクターです。

昨年1年間で、私の知る限り、約50の施設が導入を始めました。
そして、この COVID-19 の感染拡大を受け、その導入した施設のいくつかから嬉しい、応援したい知らせが来ています。

「ネットでもなかなか手に入らなくなってきたんですが、院内でフェイスシールドを 3Dプリントしたサンプルを見せたら、是非手の空いている職員を集めて量産プロジェクトをやろう、3Dプリンタを何台か買い増そうって動きになりました!騒動が落ち着いたら関連病院の作業療法室で自助具作りなどに活用します!」
「仕事が少なくなって不安になっていたところに、役割が見えて、職員同士の士気が高まってきました!」

これらは、「無料で外部からフェイスシールドを手に入れることができる」と分かっていたら起こらなかったであろう奇跡です。出来ることは分担し、緊急時にも問題解決していける自律した組織がそこに産まれます。

今、切迫している現場に、無料で届けたい。その価値も理解します。
でもそれは、本当に「無料」でなければいけないものでしょうか?
「正当な対価」は必要なこともあるのではないでしょうか?

全く人手もお金もない現場もあるでしょう。
一方で、全てに無料で配布したら、現場の「これから」に繋がる大切な一人一人の「作業」を摘み取っているかもしれない。
そんな事に、少し思いを馳せながら提供していただけると嬉しいです。


ファブラボ品川 ディレクター
林 園子